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カナダ中央部の町、ウィニペグからチャーチルへ向かう飛行機の窓から見た下界はツンドラ地帯で白く見えぬ所は夏場は湖、黒い縞は低い灌木の生える林。
辺り一面建物も道路も見当たらない寒々とした荒野だ。 |
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1年ぶりにハドソン湾に面した小さな町、チャーチルに到着した。途中で荷物が届かないと言うトラブルもあったが、チャーチルに到着した時点では荷物は揃った。
空港を出たところで出迎えの人に聞いたところ今日はいつもより少し暖かいというので持参した温度計を出して計ってみるとマイナス28度であった。
驚いたことに、この時期この地方には殆ど積雪は無く、吹きだまりに、せいぜい10〜20センチの雪があるだけであった。乾燥した雪はとても軽く、降っても風で飛ばされて殆ど積もらないのだという。
写真は道路をまるで湯気のように這うサラサラな雪。 |

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昼間、チャーチルの町で準備を整え、夜の8時にチャーチルを列車で出発した。列車は時速約30kmの速度のゆっくりとした速度で荒野の中を走った。月明かりでぼんやりと外が見えるが恐ろしく寒そうである。
列車には日本人は私一人で、他にはアメリカやドイツ、イギリス、アイルランド人のカメラマンやテレビクルーが同乗し私を含めて12人であった。他にも一般の客数人の乗客しかいなくて寂しいが、中は広々として快適な乗り心地であった。
(写真は帰りのもので昼間撮影) |
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約2時間半ほど走った荒野のど真ん中で列車は停車速度を落とした。車掌さんが、『ここでお前達は降りろ』と言うので降りる準備をしたが真夜中で駅も何もないツンドラの大荒野のど真ん中。はたして出迎えの人は居るのかどうか不安な気持ちで車外に出てみると2台のバギー車が迎えに来てくれていてホッとした。
こんな中で出迎えでも無かったらすぐに凍死してしまいそうな気温だ。その時の温度を測る余裕など無く自分の荷物を確認して車に乗り込んだ。
列車は線路以外に何もない停留所で停まり、私たちは乗り降りした。(写真は帰りのもので早朝に撮影) |
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列車から降り、およそ30分くらい走った頃に小高い丘の上にある質素なロッジに着いた。このロッジは以前はツンドラの監視所として使用されていたものを今のオーナーが1993年に買い取り、ロッジにしたとの事。
毎年訪れる写真家が帰る時に来年も予約して帰るので新しい人は、なかなか訪問する事は出来ない場所なのだ。私は3年がかりで調査手続きをし、今年やっとその仲間に入れてもらうことが出来たのだ。
今年初めてのお客を迎えるロッジはとても暖かだった。真夜中の到着にもかかわらずスタッフ全員が我々12人の到着を待っていてくれた。
写真は第一陣として到着し、くつろぐ写真家達
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ロッジに到着した日もオーロラが出迎えてくれた。
天気の良い日は素晴らしいオーロラが毎夜見られた。 |
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ロッジ到着の翌朝から今シーズンの親子グマ探しが始まった。3〜4台のスノーモービルには長年ホッキョクグマを探す仕事をしているベテランが我々より早く朝7時過ぎからロッジを出て足跡を探しまわり状況を無線でロッジや我々の乗った車に連絡をしてくる。
もちろん我々が乗った車も熊の足跡を探すが、とてつもなく広いツンドラの荒野では熊に出会うことはとても大変なことであることが分かった。 |
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約10人乗れる大型のバンに雪上用のキャタピラホィールを装着した雪上車に乗って大雪原をホッキョクグマを求めて毎日探し回った。
雪上車は時速20〜30Kmで走ることが出来る。
エンジンを切ると凍結して壊れてしまう恐れがあるため決して停めない。車内もヒーターが入っていても車の内側まで人の吐く息が凍り付く寒さだ。
トラブルが発生したら致命的な為、必ず複数台の車を連なって行動する。
窓は開かないため撮影は車の外に出て行う。 |
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現地人の熊探しは大雪原を探し回るがなかなかホッキョクグマは見つからない。
危険防止のためライフルや無線機、GPSを持っている。 |
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マイナス40度を超えるとあまりの寒さに車が破壊される恐れがあるため天気の良い日でもホッキョクグマを探しに外に出ることは出来ない。
天気が良くても風が吹くと強烈な寒さとなり、またサラサラな雪は吹き飛ばされ後にはカチカチに凍った永久凍土の表面や氷がむき出しになり熊を発見する為の足跡は全くなくなり外に出てもホッキョクグマは見つけることは出来ない。
天気は良いがマイナス40度以下になりロッジで待機する日が5〜6日も続いた。短期間の訪問ではとても撮影は出来ないことが伺えた。
天気の悪い日はロッジではベッド横になって天候の回復や気温の上昇を待つしかなかった。
2週間の滞在中8日間はロッジで待機の日々であった。
マイナス40度を超えるといくら防寒着を着ていても10分も外には出ておれない。 |
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天気は良く無風の日でもマイナス20〜30まで冷える日が普通である。
これくらいなら暖かい方で撮影も可能だが自分の吐く息が顔面を覆う防寒具に付着し凍結し眉毛も凍り付き目が開かなくなる。
私の吐いた息が顔面を覆う防寒具を凍結させた。 |
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ホッキョクグマが発見されると、およそ100mの距離から望遠レンズで撮影するがホッキョクグマは巣穴からなかなか出てこない。また外にいても寝ていることが多く何時間も待つことが多かった。
ホッキョクグマの親子が居る雪の洞穴(デン)は何回か見つけることが出来、外に出てくるのを5日間も待ったが出てきてはくれなかった。
その間1枚の写真も写すことはなかった。しかし、いつ出てくるか分からないのでカメラを構え待機しているがカメラの電池が機能しなくなるので電池だけ外してポケットに入れて暖めておいた。 |
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雪上車には昼食も準備されていた。
サンドウィッチと温かくとても美味しい味付けのスープは冷え切った体を温かくしてくれた。 |


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サラサラな雪が、まばらに生える灌木の林の場所に吹きだまりとして積もる。妊娠したホッキョクグマは11月末頃に単独で海岸線から大きく内陸に入った何も居ないこの地域に来る。こんな吹きだまりの雪の深い場所に穴を掘り、12月頃子供を産み2月の中旬に洞穴から大きく育った子供を始めて外の世界に連れ出す。その後餌のある海岸線に向かって移動を始める。 雄達は全く別行動をしながらハドソン湾などでアザラシなどを捕獲しながら冬を過ごす。
写真は洞窟から出てきたホッキョクグマの親子
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お母さん熊の呼びかけに子供達は雪の上を走りながら母親に向かってきた。
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一休み中のお母さんの背中で私たち撮影陣を見る小熊達。 距離100m
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2頭の子供を連れたホッキョクグマの一家に出会った。子供はかなり大きく成長していたがお母さんをおもちゃに兄弟が楽しく遊び回り光景は長年私が待ち望んでいた光景であった。 |


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小さな木の陰で休んでいたホッキョクグマの家族を発見したが小枝が邪魔をしてなかなか良い光景を撮影することが出来なかった。 |
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1頭の小熊が小枝をおもちゃに遊び始めたが他の木の枝が邪魔をしてすっきりした画面にはならなかった。 |
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かわいい小熊を連れた母親は子育てを苦痛ともせず満足そうな感じを受けた。 |
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遊び疲れた子供達に仰向けになっておっぱいを上げる母親グマ。
母親熊は何ヶ月もの間何も食べては居ないが体に溜めた脂肪分をお乳にして小熊達に与えて育てる。
母親が餌にありつけるには、まだまだ数ヶ月はかかる。 |
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お腹一杯になった小熊達は再び遊び回る。そばではいつもお母さんが見守っていてくれる。 |