 2001年5月28日から7月2日かけて3度目のマダガスカル取材を行った。
この時期マダガスカルは冬の時期に当たり、比較的涼しい状況であったが、雨の多い時期でもあり密林での撮影は困難を極めた。人が歩いたこともない藪を一脚に超望遠レンズをつけ、レムールを求めて海岸淵から海抜1000メートルもある尾根まで歩き回った。
ヒルやダニ、蚊にも悩まされた。一番ショックであったのは雨上がりのジャングルの中でアカエリマキキツネザルを撮影中、ぬかるんだ足元が滑り転んでカメラとCanon EF500mm F4L ISを落として壊してしまい、またいつもポケットに入れていて全ての予定表やメモ、取材記録が入ったSONY CLIE(ポケットコンピュータ)も割れてしまい使えなくなったことだ。
前半でのこの事故は後々まで不自由な思いをさせられた。 今回、熱帯雨林に棲むゴールデンバンブーレムール、アカエリマキキツネザルを主目標とした。しかしこの為だけに約2週間を費やしたがその割には成果は厳しかった。(写真左:海岸の小屋にテントを張り毎日壮大な裏山にアカエリマキキツネザルを求めて歩いたマソアラ半島の山。ガイドとキツネザルを求めて森の中を歩くガイドと私)
 またマダガスカル西部の素晴らしい熱帯乾燥林を始めて取材し、そこに棲むコカレルシファカや沢山のレムール類を撮影できた。
今回撮影出来たキツネザルの仲間は、シファカ、ワオキツネザルブラウンレムール、ゴールデンバンブーレムール、グレーターバンブーレムール、ミルネーエドワードシファカ、コカレルシファカ、エリマキキツネザル、アカエリマキキツネザル、バンブーレムール、マウスレムール、スポーティブレムール、アバヒ、そして前回苦労したアイアイが今回は意外と楽に撮影する事が出来た。 (写真はテント生活をしながらの撮影と、私のカメラの前でポーズのコカレルシファカ)
特に心に残っている光景は、ネズミキツネザルだ。夜行性のため普通は昼間に見かけることはきわめて難しいが、私がオオコノハズクの撮影をしているところにガイドが走って来て、『ネズミキツネザルが騒いでいるので来い』と言うのである。渋々とついて行くと一匹のネズミキツネザル(体長12〜13センチくらい)がある一点を中心として騒ぎまくっているのである。
何事かと見ていたらその中心部に2メートルもありそうな大きなヘビが一匹のネズミキツネザルを口にくわえているではないか。カップルのネズミキツネザルが寝ているところをヘビに襲われたのだ。残された一匹が自分の連れをヘビから救い出そうとしているのだが、かなう相手ではなかった。
その光景はおよそ30分間続いた。時間と共に捕まったネズミキツネザルはヘビの体の中へと消えていった。残された一匹のネズミキツネザルは暫くすると騒がなくなった。それどころか枝の上で放心状態となり、私がカメラを近づけても動く元気も気配もなかった。長年連れ添った相棒が目の前で死んでいく時、人間も、どんな小さな動物たちでも、その悲しさは同じであろう。
私は何も助けて上げられない事を悲しみ、”がんばれよ”と心で励ましながらその場を去った。
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