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グリズリー撮影記
 

2005年7月10日から19日までアラスカ州のカトマイ国立公園に野生のクマがサケの遡上をねらって集まるブラウンベアの撮影に出掛けた。 この撮影は約2年前から予約手配をしてきたのだが世界中からの観光客、撮影取材などが沢山来るためなかなか都合の良い具合に予約を取るのは大変だ。

サケの遡上をねらうクマが見られるのはカトマイ国立公園内のブルックス川にあるブルックスフォールという川幅一杯に広がる落差がおよそ2mくらいの滝がある場所が一番の見所だ。その場所はクマが襲ってこないような作りの展望台が完備していて安心して撮影が出来る環境にある。しかし、そこまで行くには宿泊するブルックスロッジから山道を約20分くらい歩いていく必要があり、その途中で巨大なクマに何度も出くわし、スリル満点の山道である。


カトマイ国立公園までのアクセスはバンクーバーから飛行機で約2時間飛行し、キングサーモンという村で飛行機を乗り換える。ここからの飛行機は約10人乗りくらいの小型水上飛行機での移動になる。この地域は川や沼、湖が多く水上飛行機はとても便利な存在だ。離水も着水も、とても激しく振動するのではないかと考えていたが、とても滑らかなのには驚いた。

真夏のアラスカは朝4時過ぎから明るくなり暗くなるのが夜の11時過ぎであるため一日がとても長く明るさを基準にして生活していると体長が狂ってしまいそうだ。


水上飛行機はとても便利な交通機関でどこへ行くのも気軽にこの飛行機を利用する。

キングサーモンからカトマイ国立公園までの移動時間は約20分。この間に眼下には広大な森や湖沼が無数点在している光景が広がる。



 
ナクネック湖が天候不良のためブルックス川の上流にあるブルックス湖に降りた水上飛行機

カトマイ国立公園のブルックスロッジに宿泊する人はブルックス川の下流にあるナクネック湖に降りる。そこは野生のクマたちのフィールドで飛行機の回りにはクマたちが沢山見られた。

カトマイのブルックスロッジはクマを見るにはうってつけの場所に設営されている。このロッジは5月の終わりから9月の終わりまで開業するが、それ以外では泊まる事は出来ない。部屋は2段ベットが2個有り4人が泊まる事が出来る部屋が約30部屋ある。

しかし、その値段も格別で、1泊食事無しの一部屋がおよそ10万円ほどする。ピークの7月初旬から中旬は世界中からの観光客の予約でおよそ2年先でないと予約は取れないのがすごい。
 
ブルックス川の下流に当たるナクネック湖は穏やかな湖である。この時期、もの凄い数のサケが産卵のための遡上する。
 
まるで生け簀に入れたサケのように無数のサケたちは、これから川を上る準備をしていた。
 
宿泊先のブルックスキャンプを出て見所のブルックスフォールに行くには、およそ20分間山道を歩いていかなければならない。その途中の路上近くにクマが居るとレンジャーが通行を止めクマが自分で移動していくまで待つ。クマが居なければほんの20分の距離も数時間かかる事もしばしばある。

歩道の近くにクマが居るため足止めを食っている観光客
(第一展望台から見る)
 
第一展望台近くでクマが突然現れ安全な展望台に避難移動する観光客。

こんな場合でも慌てたり騒いだりしてはいけない。
 
ブルックスフォールがあるメインの第2展望台に行く途中の道の側で、休んでいた親子熊が居たため彼らが移動するまで長時間待たされた。

親子熊は子供を守ろうとする母親熊が危険で最低100mの距離を置くように指導されているが突然目の前に現れたりするとスリル満点である。
 
上流のブルックス湖と下流のナクネック湖との間を結ぶブルックス川の上流3分の2の地点にあるブルックスフォールは一番の見所だ。多い時にはこの滝を中心に20〜30頭ものクマが遡上するサケをねらって待ちかまえる。サケにとっては生死の関門だ。
 
左のグラフはサケの遡上数と、それをねらうクマの数を日にち毎にサンプリングした統計グラフだ。
棒グラフは1分間に、この滝を越えようとジャンプするサケの数。
折れ線グラフは、その時点の滝周辺にいるクマの数。2005年の場合7月4日がサケの遡上数が一番多く一分間におよそ120匹のサケがこの滝を越えようとジャンプした。
クマの数はサケの遡上数とは少しずれて、7月10日に滝の周辺に18頭が確認されている。

私たちが訪れたタイミングはサケの遡上数は減少してきていたがクマの数はピークでベストタイミングであった。
 
滝の下流の川の中でもクマたちはサケを襲うがサケも必死で逃れようとするため、なかなか捕まえるのは難しい。
水しぶきを上げて遡上するサケにアタックするクマ

やっと捕まえたサケを食べるクマ。沢山のサケはいるがとてもすばしこく、捉えるのは大変な努力がいる。
 
滝の上からサケを待ちかまえるクマ。
滝の下は水の泡でサケの頭上にまさかクマが口を開けて待っているとは知るよしもない。
ジャンプするサケも川の中の水流や地形を考えジャンプし易い所から上流に向かって勢いよくジャンプする。

熊も滝の上のギリギリの所まで身をそり出してサケを待つ。沢山のクマを見ていると感のいいクマはサケが飛び上がってくるポイントを熟知しており、ポイントに立ってすぐにサケを捕らえる事が出来るが、感の悪いクマたちが立つポイントはいつも少しずれておりなかなか良いところにサケがジャンプしてこないため捉えるのに長い時間を要す。


サケを待つがなかなか自分の所にジャンプしてこない感の悪いクマ
 
滝の真下でもサケにとってはとても危険な場所だ。滝を越えようとジャンプしたが失敗したサケを滝壺でねらうクマの沢山居る。
クマがサケを捕らえるとサケの首筋にかみつきそのままサケの皮をむくように引き裂く。サケのお腹には産卵を控えたお腹一杯の赤い卵が飛び散る。クマはサケの卵よりは皮を好んで食べていた。
 
感の良いクマはサケがジャンプしてくる道筋を熟知している。目の前に次々とジャンプしてくるサケを捕らえるのは、このクマにとっては容易な仕事であった。
 
クマがサケを捕らえる瞬間。この後1m近くもあるサケがクマの牙に捕らえられた。
  
滝越えをしようとジャンプしたサケが、目の前で待ちかまえるクマを発見し身をよじらせて逃げようとする仕草を感じた。サケの目玉がビックリマークになっている。
 
感の良いクマが立った滝の上はサケたちがジャンプするルートであった。勢いよくジャンプしたサケは水面から出て滝を越えようとした瞬間、大きな口を開けて待っていたクマののどに向けて頭からまっすぐに突っ込んでいった。サケの目がヤバイ! といった表情をしている。

サケを捕らえた母親熊は滝の上で一緒にサケの捕獲を見ていた小熊にそのサケを与えた。母親が滝の上でサケを捕獲している時は子供達は安全な場所でその捕獲の様子をじっと見ている。猟上手な母親を持つ子供達は良いお手本を見ながら成長し、きっと名ハンターになる事だろう。
 



 
カトマイ国立公園での撮影は夜中10時過ぎまで可能だ。日本ではなかなかぴんと来ないが、この地では暗くなるのが11時過ぎ。撮影をしている私もその時間になるとさすがに疲れる。
滝のある第2ポイントから宿泊先のロッジまではカメラを担いで一人で山道を歩いて帰るが、クマたちも薄暗くなってきたため今日のサケ狩りを終え、寝ぐらに向かう。
私が帰る道を巨大なブラウンベアーの親子が正面から私の方に向かって歩いてきた。引き下がろうとしたら、私の後方にも巨大なクマが私の後ろをついて歩いてきていたため逃げ道を失った。
心臓がバクバクしながら自分に落ち着くよう言い聞かせ、道から外れてブッシュに入り、二組のクマが道を空けて通過するのを待った。
親子クマからは最低100m距離を置かないと危険だ、と到着した時に教育されたが、このときの距離は4〜5mの距離で生きた心地はしなかった。
きっと美味しいサケを食べ満腹気分であったのであろう。ちょっと?脂肪の付いた私のお腹など彼らの食料には値しなかったようだ。
 
カトマイ国立公園での一日は実に長い。日本では夜中に当たる時間帯でも撮影が出来、効率はとても良いが自己管理をうまくしないと疲れ果ててしまう。初めてのカトマイ国立公園での野生のブラウンベアの撮影であったが、まずまずの成果であったと思う。又いつの日か再び訪問したいという願いを持ってカトマイを後にした。
 
ハクトウワシ取材記
 
2006年1月24日から31日まで厳冬期のアラスカで、かねてから計画していた勇壮なハクトウワシの撮影を実施した。

ハクトウワシ(白頭鷲 = Bald Eagle)の撮影は、これまでカナダなど数箇所でトライしてきたが、なかなか近くで撮影することができず満足の行く写真が取れなかった。色々と調査をしていく内に2年前に知ったこの場所はとても撮影しやすい場所で十分撮影を楽しむことができた。

アンカレッジから飛行機で約1時間飛行したところにある小さな海岸の町で撮影を始めた。私が到着した日は快晴の天気であったが、その前日までは大荒れの天気であったようで、雨男の私だがこの度ばかりは運が良かった。





勇壮なハクトウワシの撮影は私の念願であった





5日間の内、2日間は快晴に恵まれ、青空から舞い降りるハクトウワシを思う存分撮影する事が出来た。

羽を広げると2mを越える程の大きさで頭と尾羽が真っ白な素晴らしいワシはアメリカのシンボルとしても有名である。






冬場、お腹の空いたハクトウワシは魚を求めて水辺に集まっていた。

鋭い爪をむき出して魚をめがけて降下するハクトウワシ。




音もなく獲物に近づくハクトウワシ




ハクトウワシはどこから見ても、どこを見ても美しく勇壮である




海岸近くの枯れ木で休むハクトウワシ。気温が低いため海面から湯気が立つ。



大荒れの天気の合間に枯れ木で休むハクトウワシ


滞在最後の日は大荒れの天気であった。地吹雪が舞、海は大波、そして湾の一面が氷で閉ざされてしまった。その中にラッコが7匹寒い海水の中を泳いでいた。


悪天候の中、ハクトウワシの撮影をする私カメラの耐寒性は素晴らしい。